「千紗? なんでそんな息上がってんだ?」 この声は…。 間違えるはずがない。 陽介の声だ。 息が上がり苦しい中、顔を上げると不審そうな陽介の顔があった。 「行かないで!」 反射的にそう言っていた。 そんな自分が恥づかしくて目線が下がっていく。 「山城ちゃんのところに行かないで……!」 それでももう一度言った。 目頭が熱い。