「……………。」
答えてくれたのは意外だったが
それ以上に彼の言葉に耳を疑った。
ヴァンパイア…?
幻想や物語の中にしか存在しない
言わば現実には存在しない存在だ。
「冗談はやめて、ヴァンパイアなんて居る筈がないよ。」
「なら証拠があれば信じるんだな?」
そう言って彼は口を少し大きめに開き
そこから覗かせる尖った物を見せる。
っ…!?
最初は偽物かと思い勇気を振り絞り片手を伸ばし
口の中から覗かせる"それ"に触れる。
実物を触ったのが初めてだから良く分からないが
きっとあれは本物の"牙"だと思う。
そう思ってから私は伸ばした手を素早く引っ込める。

