どうやら、1年以上も前に2人は破局を迎えたらしいのだが、私は三島くんの指からそのシルバーの指輪が外れる所を一度だって見たことがない。


どうやらこの男、未だにその彼女のことが忘れられないらしいのだ。


三島くんのくせに彼女がいたとか生意気だ。


その上、過去の恋愛を引きずっているなんてもっと生意気だ。


男らしくないぞ三島!!


なぜスッパリ諦めない!!



……それだから私も、あんたに片想いなんかし続けるはめになるんじゃないか。



先生の授業をよそに、まだ困惑している三島くんに口だけ動かして「バーカ」と言ってやった。




***


「それじゃあ、2人、日誌書いたら職員室まで持ってきてくれな」


「「はーい」」


放課後。


今日の日直だった私と三島くんは、一緒に日誌を書くことになった。


隣の席の特権てやつだ。


嬉しくてソワソワする私の隣の席で、「早く終わらせて帰ろう」と、何食わぬ顔で日誌を広げ始める三島くん。


そんな彼に、ちょっとむっとする。


嬉しいのは私だけかよっ。


本当生意気だよ三島くん。