「そんな事ばっかり言ってるから自分に自信なくすのよっ」

花音は頬を膨らませて怒った。


「うん……」

――花音の怒った顔は嫌いだ。

花音の優しさなんだ。私が我慢しなきゃいけない。

ごめん、と小さな声で言ってまた歩き始める。


「……そう言えば、生徒会長の挨拶あるんだってね」

「そ、そうなの?」


さっきまでの沈黙を破ったのは、花音の一言だった。

学校まであと少しという所の坂道の桜の木には、満開の桜が咲いている。強くも弱くもない風が吹き、桜の花びらが散った。