ましてや、いじめの標的になってしまうかもしれない。


見ての通り、この重い黒髪に地味な顔。
おしゃれな周りの子とは違う。


「……はぁ」

私は深くため息をついた。


「ちょっと菜摘、何ため息ついてんの?」

「わぁっ!」


後ろからいきなり声をかけてくるこの子。


浦田 花音 (うらた かのん)

私の幼なじみ。


運動神経が良く、頭もいい。

オマケにこのルックス。


少し茶色のミディアムの髪がよく似合っている。


「花音……」

「今日入学式でしょ?そんな顔してたらダメだよ」


花音は私の髪を撫でながらそう言う。