“好き”


ち、違う……。


あれはメロンパンが好きって意味の“好き”。


バカバカバカっ、私のバカッ!



そんな言葉にまで反応してしまう自分がいて、気持ち悪いくらい。



「ホントにおいしい……!」


奏くんと一緒に食べてるせいか、より一層おいしく感じる。



「この甘さ……!外はサクサク、中はふんわり……!!」


「菜摘ちゃんが食べてる姿見ると、なんか俺も幸せ」

「えっ?」


奏くんは優しく微笑んだ。


「あ、口についてる」

「えっ、うそっ」


必死に手で取ろうとするけど、奏くんに「取れてないよ」って言われるばかり。


「……じっとして」

「えぇ!?ああぁぅ……」


キュッと目をつぶり、じっとする。


奏くんの手が私のほっぺたに触れて、ドキッとした。



「はい、取れた」

「ああああぁ、りがとう……ございます」