笑ってそう言った奏くん。


そっか、それなら2人とも食べられる。



「そうですね!じゃあ、私買ってきます」

「ちょっと待って、菜摘ちゃん」



奏くんに呼び止められて、私は立ち止まる。


「俺が払うよ」

「そっ、そんな!いいです!」


奏くんは私の手からメロンパンを取り、さっさとレジに行ってしまった。



「お金渡さなきゃ……」


戻ってきた奏くんに、お金を渡す。




「いらないよ」

「でもっ、入学式でも助けてもらったし……」

「いいの、あれは俺の勝手」

「うぅ……」



奏くんって、すっごく優しい。



どんどん私は奏くんを好きになっていくばかりで


なにも知らないまま進んでく――。


「はい、菜摘ちゃん」

「あっ、はい。いただきます……」



パクッとメロンパンを頬張る。



「……!!おいしぃ……!」

「でしょっ?俺もメロンパン好き」

「……っ」