奏くん、みんなにこんな事言ってるのかな。
なんで私なんかにこんな事するの?
仲良くなれて嬉しい自分もいるけど、素直に喜べない自分もいた。
私は高1。
奏くんは高3。
奏くんはカッコイイけど、私は地味で可愛くない。
やっぱり、私なんかと釣り合わない――。
「どうしたの?」
「……えっ?」
奏くんの不安そうな声に顔を上げる。
「暗い顔してる……なんかあった?」
「い、いえっ。なんでもないです」
作り笑いをしてみせても、奏くんは私をじっと見つめた。
見透かさるのが怖くて、私は目線をそらす。
「……じゃあ私、行きますね」
「ちょ、菜摘ちゃんっ」
奏くんの声が聞こえたけど、私はそのまま教室へと向かった。
この時、私は知らなかった。
のちに起こることを―――。

