「いいなぁ、私もお近づきになりたぁい」

「花音には翔くんがいるでしょ?」

「……ん、そーだね」


最近、花音に翔くんの話をすると

気のせいか、なんだか暗い。



……ううん。花音のことだから、きっと上手く行ってるよ……。


「あ、私先行かなきゃ!課題やらないと」

「う、うん!」


花音がそう言って、その背中をみつめていると



「あ、花園さん」

「……えっ?」


上からの声に驚き、声がした方向を向くと


「あっ、綾小路先輩……!?」

「おはよ」


爽やかな笑顔で挨拶をしてくれるこの人、



綾小路 奏 (あやのこうじ そう)


うちの高校の生徒会長をしていて、すっごくカッコイイ。


綾小路先輩のお家は病院で、なんだかお金もちらしい……。


しかも、私なんかに優しくしてくれる人。



「そんな、堅苦しいよ」

「えっ?」


綾小路先輩がそう言い、苦笑いをこぼした。