気づいたら私は寝ていたらしく、完全に開かない瞼から薄っすら見える天井は翔弥が案内してくれた部屋の天井だった。私はここで眠いってしまっていたのだと確信した。気づいたころには窓から光が差し込んでいた。

「もう、朝なんだ」

重い瞼を頑張って開き、体を起こす。すると...____
"トントン"
扉をたたく音がした後、扉の向こうから声がした。

「おはようさん よう眠れたかね」

声の主は翔弥だった。翔弥の声を聴いた瞬間、私は昨日ことを思い出した。

"帰る家がないならここにいればいい 俺が愛栞の”居場所”を作ってやるよ"

翔弥はなぜあの時、私が心の中で思っていたことが分かったのだろうか。しかし、昨日初めて会った女に簡単にこんな言葉を言うなんてありえないと思った。人間なんて言葉に責任を持たない。それに、相手を道具のようにしか思っていないのだから。利用価値がなくなれば手のひら返しをして人のことを笑うのだろう。そんなの分かり切っている。

ー...きっとこの言葉も同じだろう

「愛栞、入ってもよいかい?」

返事をしないからなのかもう一度翔弥は私に声をかけた。

「うん いいよ」

私がそう返事をし、答えを聞いて翔弥は部屋の扉を開け、部屋に入ってきた。