綾斗は当たり前だが目を点にした。

はぁ!?こいつ何考えてんの?今日会ったばかりの女を普通族の倉庫にいさせるか!?

「おい、翔弥 本気か?」

「おう 本気やで」

綾斗の質問に対して翔弥は笑顔ではたから見たら本気には感じない。しかし、今でも私の腕を掴んでいる手からはその言葉とは裏腹に逃がさないとでもいうような力だった。振りほどくことなんてできないくらいの力で捕まれていた。

「でも、住まわせるって言ったって愛栞の家のこともあるんじゃない?まぁ 翔弥が愛栞を心配してる気持ちはわかるけど」

恵美の言葉にうちは驚いた。,,,,心配?こいつが?
そんなわけがない。会ったばかりなのに。

「でも、今日はもう暗いしさすがに女の子1人で帰らせるのはあたしも不安だし、今日は泊まっていこう?」

恵美は笑顔で私に言った。確かに、恵美が言ったように外はもう真っ暗だった。一人ぼっちの家に帰っても何もすることない。私はみんなに言われるがまま泊まることにした。

「分かった 今日泊まっていくね 翔弥も心配してくれたんだよね?ありがとう」

私は素直に翔弥にお礼を言った。でも、心配をしていても”住まわせる”という意味が私には理解できなかった。

すると翔弥は優しい笑顔をうちに向けた後私にしか聞こえないように耳元で囁いた。

「帰る家がないならここにいればいい 俺が愛栞の”居場所”を作ってやるよ」

その言葉はまるでうちの思ってたことを知っていたかのような言葉だった。...何で気づいたの?何で分かったの?

そんな私の気持ちを無視して翔弥は私の頭を撫でて綾斗たちがいる場所へと歩いていった。


「なんなのよ...」

撫でられた頭に手を置いて私はそう呟いた。


翔弥のあの言葉は心の闇を照らす小さな月の光のように感じた。