「フィリピンかぁ。気をつけてな」


外国は物騒らしいから、と付け足す。



気をつけてな、だって。


ふふふ、私を気遣う言葉が彼の口から出てきた事に少し嬉しくて頬が緩んだ。


彼は三つ年上の幼馴染み。


物頃着いた時から、私は密かに恋心を抱いていた。



大人びてて端正な顔立ちの彼はすごく人気者でライバルは多かったのだけど。


小さい頃から彼の住んでいるお隣さんを訪ねると、私の好きな優しい笑顔で”いらっしゃい”と言ってくれる、幼馴染みならではの特権が嬉しかった。