職場恋愛

注文したものが来るまでお互いの誕生日を教え合ったり、趣味を話したりして盛り上がった。

航の誕生日は7月だから過ぎちゃってたのが残念。
趣味は料理なんだって。
私も料理じゃないけどお菓子作りは好きだって言ったら、今度一緒に作ろうって話になった。


私の家はどの辺かとか出身大学とかも話して航が実は頭いい説が浮上中。
いや、全然馬鹿っぽくないけどね。

ただ、なんでいい大学で出てるのにあんな所に就職したんだろうって。


「どうかした?」

不思議に思ったら動きが止まってしまって見つめていたらしい。

「あ、うん。航が今のとこに就職したのはなんでだろ〜って考えてたの」

本当、なんでなんだろ。


「あぁ、それね。受かったのがあそこともう1社しかなかったから評判とかを比べて今のとこにしたんだよ」

なんか平然と説明されたけど…
2社しか受からなかったってこと?
この人が?

「受けた数が少なかったの?」

「うーん?40くらいじゃない?数えてないけど」

うっそ…。
私より多いし…。

「俺ねー、面接だめなんだよ。バイトも1個しか受かったことないくらい落ちまくる」


あー。いるね。
面接受からない人。
何がいけないのかは知らないけど本っ当に落ちる人。
そのタイプなんだ。


「だからさ、この前の本社のお誘いすっごい嬉しかったんだよね。まぁ当分行かないけど」

続けて話す航はなんだか楽しそう。

本社のお誘いの辺りからだったな。
航への想いが溢れ出したの。

まさか付き合えるなんて思ってもなかったな。



「ねぇ、断った理由ってあれほんと?」

もっと成長してからとかなんとかってやつ。

「本当だよ。だってまだ2年目だしさ。まだまだ怒られるのに、今から行ったって足手まといになるだけだと思って。それにやっぱ本社ってやる気が違うじゃん。しっかりしなきゃいけない部分が増えるだろうし…うん。無理」

1人で納得した航だけど私的には全然行けると思う。
仕事早いし覚えるの早いし丁寧だし。
何でこんなに自信がないのかな。
普通あれだけ頼られてたら有頂天になるよね。


「お待たせしました、ローストビーフ丼とエッグベネディクトになります」

「ありがとうございます」

料理を運んでくれた店員さんにお礼を言うなんて素晴らしい!!
彼氏の店員さんへの態度は将来奥さんへの態度になるって聞いたことある。
いい旦那さんになるんだろうな。
将来の奥さんが羨ましい。


「おいしそうだね」

「うん!光り輝いてるよ〜!」

キラキラ眩しいほどのお肉……。
思わず唾を飲み込む。

店員さんが置いて行ってくれた取り皿にローストビーフ丼とエッグベネディクトを2等分して渡す。

「ありがとう」

結構少ないかも…。航、足りるかな。



「いただきます」

2人で手を合わせていざ食す。

とろけるローストビーフがたまらない。
絶対また来よう。


ブー…ブー…

ん?電話?

携帯を触ってみても鳴ってない。
航の?

「あ、ごめん、國分さん」