これはやけ酒するしかないな。

「私、焼酎もらってくる」

「私も〜」





水を飲むようにがぶ飲みしてボトルを1本空けてしまった。
まだ足りない。
自我を失うくらい酔っ払わないと気が済まない!

「もう1本!」

「荒木さん飲み過ぎ…お水飲もう?」

真鍋さんも乙女のくせに分かってない。
私の純粋な乙女心を。








「ったくさぁ。私がどんな思いで告白したと思ってんの。あのヘタレ王子」

「うん、分かった、ごめんね」

「優しいくせにヘタレなんだから」

「ごめんね」

「なんで私がフラれなきゃいけないの!優しくするから勘違いしたじゃんよ」

「分かったから、荒木さん立って」

「私を泣かせるなんてね、100万年早いのよ!」

「荒木さんごめんね」




は〜ぁ。
気持ちいい。ふわふわ浮いてるみたい。
このまま寝れるわ。

一生目が覚めなくてもいいかなぁ。

だって今、逢坂さんに膝枕してもらって幸せだもん〜。














ガバッ!



「いった、、、」

頭がガンガンする〜…。
昨日飲みすぎちゃった。




ん?

ここどこ?

辺りを見渡すとどうやら誰かのお家みたい。

真鍋さんかな?
昨日一緒に飲んでたし。



ちょっと散策〜。
ベッドから降りてほんの2,3歩 寝室の外に出てみる。


なんか女の子らしくない部屋だなぁ。
クールビューティ系とか?



あ、写真。
どれどれ、彼氏とのツーショットか〜?
………………。


え。と。

私はとんでもない勘違いをしているんじゃないだろうか。


なななななななななんで逢坂さんの写真。




思い出せ、昨日のことを思い出せ。
告白した後からの記憶がほとんどないんだけど、私なんかやらかしてんじゃないでしょうね。

いや、待って。告白。
告白?

告白!?!?!?!?!?!?


そうだ…やらかしてるんだった。

しっかりやらかしてるんだよ。

やばい。帰らなきゃ…………。



「起きた?」

「おおおお逢坂さんおはようございます…………」

ドアの横からひょっこり顔を出した、お風呂上がりらしい逢坂さんに見つかってしまって絶望する。

「二日酔い大丈夫?」

「え、え、え、ええ。すこーし頭が痛いくらいでなんともないです。えっと、だから…帰りますね!」

マシンガンのごとく早口に話すとほんの少しだけ、黒い笑顔を見せた逢坂さん。

やばい、私他にも何かやらかしたんだ。

「えっと、、逢坂さん、昨日、私なにかご無礼を……?」

「…そうだねぇ。クソヘタレとか、クソビビリとか、闇が深そうな変な人とか…そんなことは言われたけど別に気にしてないよ」

”別に”を強調して黒い笑顔を向けてくる逢坂さんにクソびびる私。

絶対気にしてるじゃん!!

「大変申し訳ございませんでした!!!本心じゃないんです、ついつい思ってもないことを………いやぁお酒って怖いですね。はは…ははは…」


「っふふ…」


「あっ!今笑いましたね!?」

はははと高らかに笑う逢坂さんは、会社にいる時とはまた雰囲気が違って見えた。

「荒木さんって超面白いよね。安心して。全然怒ってもないし気にしてもない」

後輩をいじめる逢坂さんはそれはもう楽しそうで…。

恥ずかしくなる。