写真は晴れた空をバックに広い家の庭で撮られたような、
高木さんと島田のツーショットだった。
「これ、どういうこと…?」
「あー、なんつーか。記念写真?」
「記念…?…入社するより前に?」
写真の右下に映っている日にちは俺らがまだ高校生の頃だ。
映っている2人もどこか若々しく感じる。
高木さんは、どちらかと言うと厳つめ…。
あんまりいい人そうではない。
隣で笑う島田は物凄く楽しそうに笑っていて全然理解が追いつかない。
なに、2人は昔からの知り合いなの?
「…俺の父親の苗字、高木なんだよね」
「……………?」
「要は、腹違いの弟。携帯の高木ちゃんの父親の、愛人の子どもが俺」
「……………え?」
「母親が違う兄弟。だから、俺、コネ入社」
「……………え、ごめん、え?」
「まぁ、忘れて。これ外すの忘れててさ。ちょっと遅かったけど」
忘れ物と言っていたのはまさにこの写真のことでスっと持ち去ってしまったけれど。
コネ?腹違い?高木…?え?
待って待って。高木さんのことはあんまりよく思ってないから携帯行っても喋らないとかなんとか言ってたよな…?
けど本当はあんな笑顔で一緒に映るくらい仲良い…?
「ちょっと島田、このこと山野さんは…?」
さすがにリーダーだし知って…
「え?なんで山ちゃん?知らないけど」
なんでって、だって。
腹違いの兄弟なら高木さんの本性知ってたんじゃないの?
写真を見るからにヤバそうな人だし。
「この前の寺内さんの腕を折っちゃったやつとか…島田は少なくともいつかそうなることを分かってたんじゃないの…?」
「…んー、まぁ。山ちゃんいなくてラッキーって言ってたし」
…え?
「島田って、山野さんと仲良いよね…?」
「まぁ、表向きは」
「表向きは…?」
「ん。リーダーだし、媚び売っといて損はなくない?あ、マネージャーか」
媚………?
「あの店で唯一使えそうな人だし。将来のためになるかと思って関わってるだけだけど?」
………………家に帰った途端にこんなにひっくり返るものなのか?
「あ。噂をすれば。オニーサンから電話だ。あもしもしぃ?」
一気に分からなくなった。
島田という人間がなぜ笑い、なぜ楽しそうにしていたのか。
島田が分からない。
店でのキャラは全部偽物なのか?
「逢坂?一緒だけど?うん、見られた。超忘れてた。ごめんて。はははっウケる」
……………………。
「そっちはどうよ。山野さんいなくなってやりやすくなるんじゃないの」
山野さん…?
普段山ちゃんって呼んでるよね?しかもやりやすくなるって何?
「いや、それな!!あの人家電だけじゃなくて携帯も仕切ると思うよ。リーダー不在だし立場同じだもんね」
もしかしてこうやって毎日電話してるような仲だったりする?
…普通に怖いんだけど。
「俺ビビっちゃってさぁ。山野さんに高木ちゃんに似てるって言われて〜。そりゃ兄弟だもんどっかしら似てるよ〜って言いそうになって!!」
そっと部屋に戻りベッドに座る。
これ以上は立っていられないほどに頭が混乱した。
兄弟?上辺?なんで。なんのために。
島田も信頼してはいけない人間だったってこと?
岩木さんや飯島さんのサボりとか、全部話してた?
全部筒抜けだった?
なんで、………。
島田は、島田でいてくれよ…。


