職場恋愛

機嫌が悪いからなのか、元からなのか、つり目さんよりも遥かに運転が荒くてジェットコースターに乗っているよう。


「次で降りるんだからな、分かってんのかクソ女」


「また引っ張られたい?もっと痛いのしてあげようか!?」


「やってみろ、縛って監禁していたぶるぞ」


物騒な喧嘩はよしてください。


「できるもんならしてみなさいよ!」


「旅館着いたら縛ってやる」


仲良しなのかなんなのか。


「おい!ここで降りるって何回言わせんだよ左行け!ボケ!」


「今から行けるわけないでしょ!なんでもっと早く言わないの!?バカ!」


どうやら降りるはずの出口を通り越してしまったらしい。


「これだから方向音痴は」


「あんたが隣でブーブー文句言ってるからでしょ!?なんで隣にいんの!ゆーちゃんがよかった!」


「てめえが方向音痴じゃなかったらゆーちゃんにしてたわ」


「方向音痴じゃないから代わりなさいよ!」




ピーチクパーチクブーブーペチャクチャ前の2人は騒がしい。


うるさい2人は関西弁を喋ろうとかいう話で盛り上がっている。


「もうすぐつくやで」

「ちげーよ!もうすぐつくやんだろ!」

「そんなんだったっけ?」

「そうやん、合ってるやで」

「絶対合ってないやで」


完全に素人だ。
標準語の人が関西弁を真似するなんて無理な話…。


お隣の航はと言うと…。


綺麗なお顔で寝ていらっしゃいました。
どうりで喋らないわけだね。



「お!逢坂寝てる!今のうちに…」


っ…!!?
忘れてた!


写真は撮らせない!!


島田さんがカメラを構えた瞬間、航の顔面に飛び込んだ。



そう。
顔面に。