職場恋愛

それから数十分。

香川県に突入して、与島サービスエリアで用を足したりんちゃんさん。


ここからは少ししかないけどりんちゃんさんが運転するらしい。


「あたし分かっちゃった。あたしを最後にしたのって、運転する距離を少なくさせるためでしょ?ふざけんなミジンコ!ドライブは生きがいだっての!」


助手席に座った山野さんの上に乗り、狭いスペースで争い始めた。


本気で頰の引っ張り合いをしてるけど誰も止めない。
いや、止められない。


「もっと運転したかったのに!なんで!つり目の途中で!起こしてくれないの!!」


山野さんがパッと手を離したすきに文句を言うりんちゃんさん。
若干ほっぺたが赤くなっている。


「はあく、う、て、ひお!」


頰を引っ張られてるせいでうまく喋れないらしい山野さん。


「何言ってるか分かんない!まじで!許さないから!もう!!!」


極限まで引っ張って離された頰。
あの山野さんが顔を抑えて体を曲げた。

痛いんだろう。すごく。


山野さんの上から降りたりんちゃんさんは運転席に回り、バン!と勢いよくドアを閉めた。

その間も痛みに耐える山野さん。
めっちゃ痛そう。



私の隣には航がいて、前にはうるさいお二方。

そのお二方は必死に笑いをこらえていた。