さっきからちっとも車が進んでない気がするんだけど。
もしかして、渋滞にはまったの?
「逢坂ってさ、なんか運悪いよね」
「はぁ。さっきまでスイスイ進んでたのに…。なんで俺かな」
やっぱり。
前も後ろも大渋滞。
何時にたどり着けることやら。
あんなに寝たのに。
私はまた。
人様の肩を借りて。
眠っていたらしい。
山野さんに揺さぶられて起こされた時にはまた別のサービスエリアにいた。
「本当にごめんなさいでした。反省していないわけではないのです。つい、つい。眠気には勝てませんで…」
山野さんと航に頭をさげる。
「こうちゃん嫉妬してんの?」
仏頂面の航をからかう山野さん。
嫉妬ではなくて、何度も同じミスを繰り返す私に怒ってるんですよ。
「はい。ずるいです」
って。えぇ!!
嫉妬!?
なにゆえ!?
あ。
「運転してる航を差し置いてグースカ寝てしまって本当にごめんなさいでした」
ハッとして改めて謝ったら航以外の全員が失笑した。
…なんで?
「ゆーちゃんの天然に免じて許してやれよ」
山野さんが肩に手を置いて諭すけど、私は山野さんにも申し訳ないと思ってるんだよ!?
分かっていただけてます!?
「あの、山野さん…」
「え?なに?」
「肩……重かったですよね、ごめんなさい」
「え?別に?俺も寝てたし。あとでこうちゃんの肩でも寝てやって。意外と嫉妬深いみたいだから」
私が山野さんの肩にもたれて寝たことは気にしていないらしく、ニヤニヤしながら航を見ていた。
なんか、誰かと似てるんだよなぁ。
この楽しそうに人をからかう感じ。
誰かな。


