side 結



最悪の気分で出勤したら最悪なことに最低な島田さんとばったり会ってしまった。


「あ…荒木ちゃん…お、おはよ」


あの能天気な島田さんが私の顔見て動揺してるよ。
まぁ、そりゃそうでしょうね。

キスも見せつけられましたし?
大事な航が出勤させられてるって知ってますから?


あとで気まずくなるからやらないっていう判断には至らなかったのかね。


自分のこと頭いいとか言ってたけど、全っ然馬鹿だと思う。
一瞬でも信じた過去の私を恨む。



シカトして携帯の休憩室へ向かった。








休憩室のドアを開けると佐久間さんとつり目さんが話していた。


「おはようございます」


「おはよ」
「おはよ。でさ〜」


話の途中だったらしく、佐久間さんはつり目さんに積極的に話していた。


「まぁじ!?!?!?」


ロッカーへ直行するとつり目さんの大きな声が室内に響いた。


「声が大きい!!」


「あ、ごめん…」


どうやら聞かれてはいけないことを話しているらしい。

ゴニョゴニョ言ってて何も聞こえなくなってしまった。

いや、盗み聞きしようとか考えてたわけじゃないけどね。



パタンとロッカーを閉めて休憩室に戻ると2人は私を見た。

あれ?私についての話題だったの?
やだ、やめてよ。
家電みたいに。


「ゆーちゃん…」


なんですか。


「しまって彼女いんの…?」


「え?」


なんか私、すごい勘違いをした…?


「あ、はい。私の同期と付き合ってるみたいです」


「えーーーーー。嘘。しまには絶対彼女できないと思ってたよ」

「俺も」


「それもかなりラブラブです」


人前でチュッチュしちゃうくらいですからね。


「今世紀最大の驚きだわ」


つり目さんが大げさなことを言った。
そこまでじゃないでしょ。


「しまくんは家電きっての遊び人だよ」


男性ロッカーから森さんが出てきた。
…いたのね。


「森ちゃん!いたの!?ロッカーで何してたの!?」


佐久間さんとつり目さんも知らなかったみたい。
すごく驚いてる。


「いやぁ、今にも雪崩が起きそうだから片付けてたら止まらなくてね」


ぽりぽりと頭をかく丸いフォルムの森さんはゆるキャラとも呼ばれている。

のほほん、ほわほわ、ぽか〜んって言葉が最も似合う人だ。


「てか、遊び人ってまじ?」


すぐさま話題を戻したのはつり目さんだ。
そんなに気になるんだ。


「まじだよ〜。あっちに飯島さんっていう綺麗な人がいるんだけどね、何回か食べられてるよ」


ほわほわしながらトンデモ発言するなし。


「でもおかしいなぁ。いつもはバレないようにやってるんだけど…」


バレないようにって…この人はバラしてるけどいいの…?


「しまって女っ気ないよな…。一気に見る目変わったわ…。女の子の落とし方教わらないと」


私はどんどん嫌いになっていくよ。
遊び人ってチャラいってことでしょ。

女子はよく思わなくて当然。


けど、島田さんも割と人気者なんだよね…。

謎。