まだ怒った様子のない國分さんに無遠慮に言葉を放つ山野さんは強い。
リーダーとか関係なく気が強い。
国へ帰れと言っておきながら、やっぱり怒っていないと感じるのは、今日が最後だからなのだろうか。
今日が、最後。
「あ…」
「どうしたの?ゆーちゃん」
私の小さい声に気付いたのは隣にいるりんちゃんさん。
その声につられて私を見る皆様。
いや、気まずい。
「あ…いや、あの…國分さん、最後だなって」
私が言うと静まり返ってしまって、禁句だったのかと焦る。
「あぁ、せいせいするよ。鬼が1人減る。おかげで働きやすい職場づくりができそうだ」
しばらくの沈黙を破ったのは山野さんだった。いや、破ったのは沈黙だけじゃなくて重苦しい空気も。
山野さんの言葉でスッと立ち上がった鬼さんはそっと山野さんの肩に手を置いて口を開いた。
「次会うときはせめてマネージャーくらいにはなっとけよ?」
「…は?店長ぐらい余裕だし!」
「それはそれは楽しみだな」
仲が悪そうに見えて実は信頼関係が成り立っているのかな、と思えるやり取りにジーンと来てしまった。
「荒木」
次に手を置かれたのは私だった。
「は…はい」
久しぶりに目の前に立たれて声が裏返ってしまった。
恥ずかしい…。
「お前はもう携帯の人間だ。
よその責任まで背負う必要はない。
荒木は荒木らしく、とことんこいつらを困らせてやれ」
こいつらと指さされたのはりんちゃんさんと高木さん、それから山野さんだ。
「あいつは俺よりリーダー性が優れてるし、そいつは意外と優しいとこもある。
高木はアホだが悪い奴ではない。
伸び伸びと羽を伸ばして仕事ができるだろう。島田も入り浸るくらい居心地がいいみたいだしな」
國分さんは優しい笑顔で言葉をかけてくれる。
この笑顔、知ってる。
優しくて、全てを受け止めてくれるような笑顔。
國分さんのこんな顔は見たことないはずなのに。
「…お世話になりました。短かったけど、ありがとうございます」
國分さんに頭を下げる。
今私の目の前にいるのは、私の嫌いな國分さんじゃない。
本当の國分さんだ。
本当はこんなに優しい顔ができる人だったんですね。
ありがとうございました。
リーダーとか関係なく気が強い。
国へ帰れと言っておきながら、やっぱり怒っていないと感じるのは、今日が最後だからなのだろうか。
今日が、最後。
「あ…」
「どうしたの?ゆーちゃん」
私の小さい声に気付いたのは隣にいるりんちゃんさん。
その声につられて私を見る皆様。
いや、気まずい。
「あ…いや、あの…國分さん、最後だなって」
私が言うと静まり返ってしまって、禁句だったのかと焦る。
「あぁ、せいせいするよ。鬼が1人減る。おかげで働きやすい職場づくりができそうだ」
しばらくの沈黙を破ったのは山野さんだった。いや、破ったのは沈黙だけじゃなくて重苦しい空気も。
山野さんの言葉でスッと立ち上がった鬼さんはそっと山野さんの肩に手を置いて口を開いた。
「次会うときはせめてマネージャーくらいにはなっとけよ?」
「…は?店長ぐらい余裕だし!」
「それはそれは楽しみだな」
仲が悪そうに見えて実は信頼関係が成り立っているのかな、と思えるやり取りにジーンと来てしまった。
「荒木」
次に手を置かれたのは私だった。
「は…はい」
久しぶりに目の前に立たれて声が裏返ってしまった。
恥ずかしい…。
「お前はもう携帯の人間だ。
よその責任まで背負う必要はない。
荒木は荒木らしく、とことんこいつらを困らせてやれ」
こいつらと指さされたのはりんちゃんさんと高木さん、それから山野さんだ。
「あいつは俺よりリーダー性が優れてるし、そいつは意外と優しいとこもある。
高木はアホだが悪い奴ではない。
伸び伸びと羽を伸ばして仕事ができるだろう。島田も入り浸るくらい居心地がいいみたいだしな」
國分さんは優しい笑顔で言葉をかけてくれる。
この笑顔、知ってる。
優しくて、全てを受け止めてくれるような笑顔。
國分さんのこんな顔は見たことないはずなのに。
「…お世話になりました。短かったけど、ありがとうございます」
國分さんに頭を下げる。
今私の目の前にいるのは、私の嫌いな國分さんじゃない。
本当の國分さんだ。
本当はこんなに優しい顔ができる人だったんですね。
ありがとうございました。