翌日の午後、和佳に浴衣を着せて送り出した。
浴衣と一緒に髪を結うのを手伝ってあげたら、和佳は照れ臭そうな顔をしていた。
ただひとつ気になっているのは門限を言い忘れたこと。近所のショッピングモールに行くと言っていたから、そんなに遅くはならないといいけれど。


さてと、次は私。


浴衣は着ないからいいのだけれど、新しい服を着るのは少し勇気がいる。


黒いワンピースはミディ丈のフレアシルエット。広がりを抑えたフレアだから上品に着ることができるし、ノースリーブだから黒でも暑苦しさは感じない。ネックレスとピアスを着けると華やかな雰囲気になった。


鏡に映った自分の姿を見ながら、くるくる回ってみる。


普段はパンツスタイルが多いから、ワンピースなんて見慣れなくて変な感じ。もしかすると和佳も浴衣を着た自分の姿を見て、同じような気持ちだったのかもしれない。


恐る恐るリビングへと降りていく。
リビングのドアのガラス越しに見える彼はソファに座って、準備万端で余裕の表情でスマホを触っている。


そっとドアを開けたら、待ちかねたように振り向いた。