金曜日は気持ちが緩みがち。
明日は土曜日、仕事が休みだから時間を気にしなくてもいいと体が勝手に判断してしまう。普段なら済ませているようなことが何にもできていなかったり、何をするにもペースが遅くなって夜ふかししたり。
そうしているうちに、彼が帰ってきてしまった。彼が帰ってきた途端に焦るのはいつものこと。
「和佳も花火観に行くのか?」
着替えを済ませてリビングに降りてきた彼が先ず言った。寝室に掛けておいた浴衣を見たらしい。
「うん、、浴衣を着せてあげようと思って」
和佳が中学生の時に作って、まだ二回しか着ていない浴衣。一応着付けはしてあげられるけれど、数年のブランクがあるし不器用だから綺麗に着付けてあげられる自信はない。あとでこっそり着付けを調べておくつもり。
「誰と行くの? 高校の友達?」
彼も気になるらしい。
久しぶりに行く花火だから余計に気になるんだろう。
だけど面白い。彼も娘も久しぶりに花火を観に行くと言い出したタイミングが同じなんて。やっぱり親子だから似てくるものなのかな。

