「...そろそろかな」
そう言って、やっと彼が離れてくれたのはいいんだけど...
そろそろってなにが?
ていうか、手と足が痺れてきたんだけどっ
「っは、はぁはぁ、何を飲ませたの?っ!?」
足がふらついて、彼の胸に飛び込む形となってしまった。
「ふふ。んー、なんていうんかな、痺れ薬みたいな?」
「ふざけないで」
そう口では言うものの、手足、頭が痺れて抵抗ができなくなってしまっていた。
「無事、効いてくれたね」
彼が私をお姫様抱っこしながら言う。
おろしてよ。
しかも、眠たくなってきたし...
私がウトウトしていると、
「あ、やっぱ眠たくなっちゃうよね、副作用だし」
「そんなことな...い...」カクンッ
眠気には勝てなかった...。
「さて、行きましょうかね」
──薄れゆく意識の中、なぜかクルト王子の顔が浮かんだ...