「あなた、誰ですか」


「うん、まあそうか、僕のこと知らないよね」


「ええ、あなたみたいな変質者なんか知りません」


うん、分かるわけない。初対面だよ?


「えー、ひどいなあ
てか、きみを見つけたの僕なのに、王様に先越されちゃったんだよね」


「え?」


それ、どういう意味?


「だから〜、て、きみを見つけた時、声をかけたはずなんだけど?」


「なんて?」


「みつけた、って」



もしかして、ハルトさんからの声が聞こえる前に聞こえたやつ??


え、あれで声をかけたつもりなの??


分かるわけないじゃない!



「あんなので分かるわけない」


「あは、そうだよねー
でも、僕 きみに用があって来たんだ、一応ね」


「用って?」


「それはねー、きみを攫うこと!」


「は、はあああ!?
どうしてそうなるのよ!」



全く意味が分からない。
頭 大丈夫かってぐらいよ、ほんとに。


しかも、ニヤニヤしながら言わないでほしい。


ほんとに変質者だわ、この人。



「だって、きみ 正直に言ったところで付いてきてくれないでしょ?」


あ、当たり前よ!!
私、怪しい人には付いていきません!!



「で?私をどうする気?」


どうするんだろ?

この人に攫うなんてこと出来るのかな?



「きみのそういう気が強いとこ好きだよ」


そう言って、彼は静かに私の所まで歩み寄ってきた。