「今はそれよりもハデスを倒さなければ。」
銃を投げ捨て、痛みと闘っているハデスに襲いかかった。
傷口を押さえ、俊敏に逃げ回る。
追いかけても追いかけても捕まえられない。
ナムの体力も限界に近かった。
その時、またあの声が聞こえた。
「ナムを助けろっ!化け物を囲めっ!」
勇敢でたくましく、懐かしさを感じる声が他の百何十人の亡霊を動かした。
「ナム!今だ!行けっ!」
亡霊に囲まれて抵抗するハデスに力を振り絞って剣を振るった。
一回目は腕でガードしたが、強力な魔力を持つ剣は腕を斬り落とす。
二回目の一振りでハデスの首をとらえた。
体からは犬や猪、カラスや蛇といった動物の魂が抜け出し、はねた首からは無数の狼の魂が天へと昇っていった。

「やっと終わった…。」
仰向けに寝そべるナムに力を貸してくれた亡霊が近寄る。
「お疲れさん。太刀筋はイマイチのままで立ち向かう勇気もない。だが、よくやった。それでこそ俺の親友だ。」
差し伸べる手をとり、立ち上がった。
「…嘘だろ?」
ナムは目の前の亡霊を見て言葉が出なかった。