うつむいて笑うハデスの顔は怒りに満ちていた。
亡霊達が周りで見ている中、不気味な残像を残して走ってくる。
「来るなら来い!決着をつけてやるっ!」
剣を構え、タイミングよく斬りつけた。
かすった手応えはあっても確実な手応えはなかった。
当たる瞬間、ハデスは頭上へ消え、振り返ったが姿がない。
亡霊達もキョロキョロとハデスを探すが見当たらない。
「クソっ!出てこい!卑怯者!」
「グゥワォォォン!」
獲物に襲いかかる野獣のような雄叫びと共に目の前に姿を現した。
現れたと思うとすぐに剣を振るう。
ナムは突然の攻撃を剣で防いだ。
だが、魔の力が働いて十メートルほど飛ばされた。
地面に頭を打ちつけ、意識がとびそうになる。
それでも立ち上がらなければならないと思う強い正義感に動かされ、上半身を起こした。
しかし、そんなナムに追い討ちをかけるようにハデスが向かってくる。
ナムを守ろうと亡霊達がハデスの進路妨害を試みたが、豆腐に鎹(かすがい)の如く、スピードが落ちる気配は全くなかった。