「これじゃないか?」
青年が五つある中の一つのお面を持ち上げた。
「ダメだ!触るなっ!」
ナムの忠告も虚しく、青年は割れたお面から吹き出した液体が顔にかかり、命を落としてしまった。
「こ、この液はなんだ!」
ジムは慌てて流れてくる液を避けて聞いた。
ハンター経験のあるナムは液の正体を知っていた。
「これは触れた者の命を奪う‘龍の胃液’と言われている科学薬品だ。きっとシュリバ一族の技術は優れていたのだろう。」
説明し終えると距離を十分にとり、小石を拾って残りの仮面に投げ始めた。
龍の胃液が含まれたお面は石が当たると簡単に穴が開き、中から液体が勢いよく噴射された。
一番端に置かれているお面に小石が当たるとコツンと音を立てて石を跳ね返した。

お面を手に入れ、脱出を試みた時、待ちかまえていたかのようなタイミングで天井部分をすり抜けて死神が襲いかかってきた。
先頭のナムは間一髪でかわせたが、その後ろにいたジムは鎖骨(さこつ)からわき腹にかけて斬られてしまった。