「そのえくぼ…ナムだ。」
勇敢な中年男の後ろから無精髭(ぶしょうひげ)をはやした中年男が出てきた。
「ジムおじさん!」
「ナム、立派になったな。」
ジムはナムの父の大親友。
小さい頃、よく遊んでもらった。

ジムに話を全て聞き、ハデスが居るというサランガルガの牢獄へと足を運んだ。

嫌な思い出はいつまでも覚えているもの。
特に十年前に受けた罰は忘れたくても忘れられない。
長い年月が経っても深い傷はくっきりと残っていた。

ナムが牢獄への階段に足をかけた時、懐かしい感じがする低い声が聞こえ、一人の男が階段を下ってくる。
「久しぶりだな。ナム。」
当然なのだが、あの頃からは想像もつかないハデスの姿があった。
「ハデスか?誰か分からなかった。」
「フンッ。そんな事どうでもいい。…なぜ、帰ってきた。」
突き放すように問う。
「連れないなぁ~。十年ぶりの再会なのに。ほら、ハグしてくれよ。」
両手を広げてハデスに笑顔をみせる。
ハデスは鋭い目つきで、ナムに近寄った。