天井から肉をぶら下げる為のフックが吊されているがサビついてびくともしない。
焦げ茶色のペンキで塗装した跡があったり、サビて使えなくなったノコギリやいろんな所が壊れているチェーンソーなど木材加工用の道具が捨てられていた。
ザッザッザッ。
複数の足音が近づいてくるのが聞こえ、慌てて外に出た。
「こっち!こっち!」
ナムの声だった。
ハデスは石の家を離れ、ナムの方へ走った。
「ナムっ!何処へ…」
ナムの後ろには村長を先頭にたいまつを持った村人数人がこっちへ走ってきていた。
「お前っ!こんな所で何をしておる!」
普段は見向きもしない村長が鬼の形相で話しかける。
「僕は何もしてない。ただ、遊んでただけだ。」
村長はハデスを突き飛ばし、石の家を慌てて閉めた。
「中に入ったのか?」
「いや…入ってない。ずっとナムを探してたから。」
「もう二度とここへは近づくでない。おい!こいつを連れてゆけっ!」
村長の命令でたいまつを持った男にハデスは捕まった。
「放せっ!もう近づかないから放せよっ!痛い!放せっっっ!」