家を飛び出すと同時に左右から死神の刃が素早く何十回、何百回か体を貫通した。
娘と母親の目からは黒い塊が父親の前を左右に行ったり来たりしているだけに見えていた。
「あなた…?」
娘を抱えて近づこうとする。
振り返ったのは父親の首だけだった。
「ひぃっっ!」
「きゃゃゃゃー!」
悲鳴をあげた瞬間、父親の千切りを目の当たりにした。
あまりの悲惨さに座り込む二人。
それが罠だった。
人間は誰かの死を見ると腰を下ろす習性がある。
座り込んだ娘の臀部(でんぶ)に床から突き出した死神の刃が食い込む。
母親は気づかずただ、娘を抱きしめている。
ゴホゴホ。
娘の異様な咳にやっと気づいた。
「ヘルセ?ヘルセっ!?」
口から血を吐いている。
肩に手をやり、様子を伺う。
ブシュッ!
水分を含んだモノを握り潰すような不快な音と同時に下腹部から刃の先が突き出した。
「いやっっ~!…う゛っ!」
刃の先はそのまま母親の腹部にも突き刺さった。
犠牲者、四人。
残り、四十ニ人。
娘と母親の目からは黒い塊が父親の前を左右に行ったり来たりしているだけに見えていた。
「あなた…?」
娘を抱えて近づこうとする。
振り返ったのは父親の首だけだった。
「ひぃっっ!」
「きゃゃゃゃー!」
悲鳴をあげた瞬間、父親の千切りを目の当たりにした。
あまりの悲惨さに座り込む二人。
それが罠だった。
人間は誰かの死を見ると腰を下ろす習性がある。
座り込んだ娘の臀部(でんぶ)に床から突き出した死神の刃が食い込む。
母親は気づかずただ、娘を抱きしめている。
ゴホゴホ。
娘の異様な咳にやっと気づいた。
「ヘルセ?ヘルセっ!?」
口から血を吐いている。
肩に手をやり、様子を伺う。
ブシュッ!
水分を含んだモノを握り潰すような不快な音と同時に下腹部から刃の先が突き出した。
「いやっっ~!…う゛っ!」
刃の先はそのまま母親の腹部にも突き刺さった。
犠牲者、四人。
残り、四十ニ人。



