「…ひぃっ!」
恐怖のあまり声が出なかった。
父親の口から腕が突き出し、ひねりを加えて両目に指が突き刺さっていた。
「ヒィヒィヒィ!」
父親の頭上で亡霊が笑っている。
左にいた姉を確認すると首がない。
「ヒャッヒャッヒャッ!」
笑う亡霊を見ると反対の手に姉の髪の毛をつかみ、生首をプラプラ揺らしていた。
「お母さんっ!」
後ろにいた母親は頭に斧が五本刺さっていた。
左右、斜め、頂点に。
男の子は泣き叫びながら父親の腕をすり抜け、外へ飛び出した。
「ハロ~!」
手のひらを向け、指を小刻みに動かしているハデスの姿があり、その周りをシュリバの亡霊達がグルグル回っていた。
男の子が振り返ると生きている父親の姿が…。
「お父さんっ!?」
「ウェルドっっっ!」
手を伸ばす父親の目の前で空から降下してきた死神に刃で頭から垂直に斬られた。
男の子は幻をみせられ、外に出た所を死神に真っ二つにされたのだ。
「あら、残念。」
ハデスの挑発に乗った父親が包丁を手に襲いかかる。
「殺してやるー!!」