次の瞬間、正面からぎゅーっと抱きしめられる。
倫太郎の香りでいっぱいになった。
「すげー……絶対日菜子は俺の事男として見てないと思ってたのに」
「そんなことない……ずっと好きだったよ」
「鍛えといてよかった…」
「だから鍛えても鍛えてなくても、どっちでも好きだし!」
「いや、鍛えてよかった。じゃねーとお前のこと守れねーし」
「倫太郎…」
「もう守ってやるとか言うなよ?俺のセリフだかんな」
抱きしめられた胸は広くて、あの小さかった倫太郎の面影はどこにもない。
でも心は変わっていなかった。
あの頃の倫太郎のままだ。



