始業式の次の日、いよいよ新しいクラスでの授業だ。1時間目から順に数学、理科、英語、国語といった時間割りだった。
 今日は4時間終わりのためクラスの雰囲気は落ち着かない様子だった。


 「数学だってよー。久しぶりの授業はお楽しみ会みたいなのがよかったよな!」


 「それもう授業じゃないじゃん!?啓汰って馬鹿通り越してアホだ。」


 「ああ!?うっせーし!黙れよな!ボケただけだし!マジになるとかお前のほうがアホだ!」


 (ゆみちゃん…よく男子と話せるな…。私なんて去年、係の仕事とかで何か用事がないと話なんてしてなかったのに。凄い…。てかそんなことで喧嘩みたいになるのかがわからない…。)


 「啓汰、本当に口が悪いな。」


 「ねー。本当に!」

 
 「ええー!?お前そっちの味方かよー。林ー。明らかそっちからアホとか言い出してきたのに!」


 (林…。たしか小学校の時に名前だけ聞いたことある気がする…。あの人なのだろうか…。)


 教室の後ろに貼っている名簿を確認する。


 (林海里…。やっぱりそうかも。)


 見た目はあまりパッとしない真面目そうな人だった。肌は小麦色で優しい感じがした。


 (たぶん運動部かな?まあそんなことはどうでもいいんだけど。)


 「味方とか関係ないからな?だいたいこんなことで言い合いするのどうかと思うんだけど。」


 (それ!本当に同感!なんでもきっぱり言えるなんて凄い…大袈裟かもしれないけど尊敬する。)