君の手は借りない



急かされて、私はもう一度ドアに向き直る。


大丈夫、いける。


深呼吸をしたがら取っ手に手をかけ、ゆっくりと開ける。


そこには、これから一年間共に過ごす人たちが、静かに座っていた。


「ほら、早く入れ。」


軽く背中を押され、私は教室に足を踏み入れた。


初対面なのに、突然背中を押すとはなんて失礼なんだろう。


そう思ったけど、そのおかげで、無事に入ることができた。