遠のく意識の中、成美は男の顔を瞳に焼き付けた。 成美の体に馬乗りになり、夢中で首を締め上げる男の顔は上気して、平常心を失っている。 それは情熱にも似ていて。 歪んだ愛一一。 自分にふさわしいとさえ、成美は思う。 真っ直ぐ、そして熱く自分を見下ろす男を、成美は改めて「愛しい」と思う。 一粒の、涙が落ちた。 『……ありがとう……』 成美の最後の言葉は音にならない。 成美の愛も、命も、最愛の男の手の中で儚く消えていく一一。 その瞬間、成美は確かに幸せだった。 『完』 ・