【BL】お荷物くんの奮闘記

 話の流れでさらっと、火属性の魔法が使えるという説明をすることはできた。後ろで意気揚々とウサギを捌いているレツに感謝だ。

火属性と自分は相性が悪いのか、実は全く「ちょろっと」ではない努力をしたのだが口にするつもりはない。すごい、と頬を紅潮させるリュータの羨望のまなざしを裏切るわけにはいかないのである。


「ちょっと応用すればまともな魔法にはなると思うぜ」


「……おれ、ほんとは魔法苦手なんだ。ただ火起こして敵に投げつけるだけっていうか……あんまり上手くないから、ユウジみたいに自分で工夫するっていいなあ」


 頭も悪いから工夫の仕方だって分からないんだけどね。リュータが頬を掻く。見た目が良くて素直で優しく、運動神経も抜群とくればそれでもう充分な気がする。そのうえ知恵までつけられたら完璧すぎて心が折れそうだ。どうかおまえはそのままでいてくれよ、と苦笑に込めた。


 リュータの集めてきた枝に火を落とす。レツが余った枝にウサギ肉を刺して焼き始めるのを横目に、食べ盛り伸び盛りの少年二人がいるのだからあの量の肉でも足りないだろうと荷物の中から集めていた果実や木の実を出した。もう森に入るのだから、食料を心配する必要もないだろう。


 レツのことを警戒していたリュータだったが、食事の席で彼以上に人懐っこく話を振ってくるレツとやりとりをしている間に打ち解けてきている気がする。勇者の剣を抜いたとか、討伐カウンターでさんざんな目に遭ったとか、そんな話題を中学生らしい会話で繰り広げている。

楽しそうだな、と彼らを微笑ましく見つめていると、リュータがこちらを見て不自然に身を硬くした。顔が赤く見えるが、火の照り返しだろうか。