【BL】お荷物くんの奮闘記

 消音できそうな魔法を教わった時に試すのが無難だろうか。音に関わりそうな属性は風だが、どういう順番で教わるかまでは師匠の都合だろう。


 次の授業までに使いこなせるようになっておけよと言われたからには、リュータが寝ている間に重力操作魔法の練習をしておく必要がある。火から少し離れて小石を拾うと、地面の上で回転するように回しながら落とす。それを魔法で止める。そんな涙ぐましい地道な練習は、朝まで続いた。


 日中は山を歩き、夜は先に休んで夜中にリュータと交代して師匠の講義を受ける。朝リュータが目覚めるまで復習する。睡眠時間半分かつ寝起きに受講と自習とは、大学受験の頃に戻ったような気分だ。昼間に登山が入るおかげで受験生当時よりも体力を消耗する。体が鍛えられそうだ。


 疲労が溜まっているのが分かるのか、リュータは下りの山道で転びそうになるたび庇ってくれた。本当に転がり始めるとリュータの体格では自分は支えられない気もしたが、そこまで考えてそういえば先日平然と横抱きにされていたことを思い出す。大丈夫そうだ。


 下りきってしまえば、次は山を囲む森を抜ける必要がある。まだまだ野宿は続くが、その分リュータには内密に使用可能魔法を着実に増やすことが出来ている。風の魔法も教わって、音の振動を限りなく中和して無音を作り出すことにも成功した。安全な火元で修行し放題である。


「もうちょっとで麓まで降りられるね。森の中だと魔物多そうだし、気をつけないと」


「そうだな」