【BL】お荷物くんの奮闘記

 ここまでの話で、一度も精霊との契約がどうとかいう話が出てこない。出たら出たでその属性の魔法を使うには契約が必要なんて定番の話になっても面倒なのでそれは構わないが、どうも話を聞く限りだと、どこかにあるエネルギーを一度自分のところに一定量収集して、それを各属性に変換するという手順で魔法が成り立っているようである。


 そのエネルギーの出所は、自分の魔力、いわゆるMPなのか、それとも別の場所――魔王の加護を受けている者のように供給源があるとか――なのかは分からない。

師匠が言うには、自分には魔王の加護はやはり付与されていないらしい。強くなるには自力でどうにかしなければならないのだそうだ。


 本日の講義の最後に教わった術は、地属性の重力操作魔法である。基本動作の『押しつぶす』力の操作方法しか習わなかったが、先日教わった脱出用の術に引き続き、攻撃魔法と呼べるか不明な足止め用魔法だ。

しかし、脱出魔法と組み合わせれば攻撃用の技に転用可能かもしれない。

牢の中で口をすっぱくして注意され続けた、『障害物をすり抜けるための術構成を忘れずに付与するように、でなければ屋内使用時天井に頭をぶつけることになるぞ』との言葉はアドバイスでもあるはずだ。

たとえば重力操作で足止めし、脱出魔法を今やお荷物にしかなっていない勇者の剣に付加して障害物をすり抜ける構成を加えずに敵に向かって転移させれば貫通技になる可能性がある。

こればかりは試してみなければ分からないが、リュータの前で必死に試行錯誤している姿を見せるのは癪だ。


 試すだけならそこらに生えている木で試すのもアリだが、使用時の音までは防げない。それでリュータに気付かれては元も子もないのである。