【BL】お荷物くんの奮闘記

「レツ、ごめんね。

……君の好きな子よりも、家族や、帰る家よりも、ぼくを選んでくれて……ほんとは、嬉しかったよ」


 大好きだよ。あの日からずっと、今でも。

そう言って静かに目を閉じた人間の魔法使いの少年を、リュータが開けた吹き抜けの上空で見下ろしている。


「リュータ、降りてこい」


 手元にひとつだけ残ったMP回復薬を口に放り込んで、彼に手招きする。いつ時間切れが来てもおかしくない状態だ。今すぐにでも回復魔法を使ってやりたい。


「ユウジ」


「……リュータ?」


「おれ、は」


 滞空していた彼が、ゆっくりと仰向けに倒れていく。

リュータは崩れかけたフロアの床の上ではなく、地上へと力なく落下し始めた。


 蘇生魔法を構築しながら、切り離された床を蹴る。彼を追って宙へ身を投げた。


 HPもMPもとっくに底を尽きていたのだ。底を尽きてなお気力でか、あるいは別の何かの力によってか敵を倒すまで戦い続け、勝利を手にした瞬間に意識を失った。


 ほんの少し先を落ちていく彼を、背に燃える炎の翼が包み込んでいく。

命綱なしのスカイダイビングよりも、その現象の既視感に背筋が凍った。