そのトラップ、できれば使いたくなかったんだけど。
いつもいつも、レツの後始末はぼくの役目なんだもんなあ。レツ、と小さく呟いて、カインが小さく笑みを浮かべる。
「ねえ。リュータ。その血痕は、あのひとの返り血だね?」
「これは――」
「弁明はしなくていいよ。ぼくらだって同罪だ。君の大切な人を、諸悪の根源として手にかけたのは、ぼくたちだ」
知らなかった、じゃ許されない。魔王を継ぐとね、前任者の記憶も流れてくるから、後になって全部知らされたよ。
「けれど、一番最初にぼくの大切な人をこんな世界に巻き込んだのは、リュータ、……ウリエル。紛れも無く君の言葉で。彼を殺したのも間違いなく君たちだ。手加減はしないよ」
「でもおれは、戦いたくないよ。カイン」
「ぼくには戦う理由がある。君はユウジのために、おとなしく殺されるわけにはいかない。好きな人との約束を選ぶなら、君は嫌でも、戦うしかなくなるね」
落ち着いた物腰で穏やかに語りかけるカインの目に、薄暗い怒りと悲しみの色を見てしまった。
レツを殺したその瞬間に、交渉の余地なんてとっくになくなっていたのだ。
分かっていたことだけれど、それでも、彼もただこの魔王継承システムに取り込まれただけの少年だと知っているから、別の道を一緒に探したかった。
「そろそろ、配役を決めようか。……悪者になるのは、戦いの敗者だ」
カインが右手を掲げた。その動きに共鳴するように、重い音を立ててフロアが分断され、この一室だけが空中にじわりと浮上し始める。
「ぼくがもし、勝ってしまったら、レツの居ない世界に生きてたって仕方ないから……昔の熾天使様と同じようにこの世界ごと消し飛ばそうかな」
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いつもいつも、レツの後始末はぼくの役目なんだもんなあ。レツ、と小さく呟いて、カインが小さく笑みを浮かべる。
「ねえ。リュータ。その血痕は、あのひとの返り血だね?」
「これは――」
「弁明はしなくていいよ。ぼくらだって同罪だ。君の大切な人を、諸悪の根源として手にかけたのは、ぼくたちだ」
知らなかった、じゃ許されない。魔王を継ぐとね、前任者の記憶も流れてくるから、後になって全部知らされたよ。
「けれど、一番最初にぼくの大切な人をこんな世界に巻き込んだのは、リュータ、……ウリエル。紛れも無く君の言葉で。彼を殺したのも間違いなく君たちだ。手加減はしないよ」
「でもおれは、戦いたくないよ。カイン」
「ぼくには戦う理由がある。君はユウジのために、おとなしく殺されるわけにはいかない。好きな人との約束を選ぶなら、君は嫌でも、戦うしかなくなるね」
落ち着いた物腰で穏やかに語りかけるカインの目に、薄暗い怒りと悲しみの色を見てしまった。
レツを殺したその瞬間に、交渉の余地なんてとっくになくなっていたのだ。
分かっていたことだけれど、それでも、彼もただこの魔王継承システムに取り込まれただけの少年だと知っているから、別の道を一緒に探したかった。
「そろそろ、配役を決めようか。……悪者になるのは、戦いの敗者だ」
カインが右手を掲げた。その動きに共鳴するように、重い音を立ててフロアが分断され、この一室だけが空中にじわりと浮上し始める。
「ぼくがもし、勝ってしまったら、レツの居ない世界に生きてたって仕方ないから……昔の熾天使様と同じようにこの世界ごと消し飛ばそうかな」
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