【BL】お荷物くんの奮闘記

「あいつ、げんきかな」


 その直後、いつかのトカゲ退治の時のように正確に首を狙った一閃が彼を襲う。斧はバリアーを壊すが、反動によって狙いが逸れヴェルターは直撃を免れる。


「おれにとっては何千年、何万年も昔の話なんだけど。幼馴染がいたんだ。三十路になってもお互いフリーだったらおれたちで結婚しようかってゆるい約束しててさ」


 ヴェルターに攻撃の矛先が向いたことで、リュータがレツの近くまで飛び込むことができた。白亜の剣の切っ先が、彼の頬を掠めていく。


「もうあいつ結婚したかな。子供いんのかな。今二〇一六年なら、とっくに三十路だもんな」


 次に放たれたのはノアによる大火球だった。回避直後に足下で爆発し、床の破片がレツを襲う。


 レツが、まるで遠くを見つめるように目を細めた。寂寥にも似たその表情に、参戦のため魔法の構成をしていた手が止まる。


「……レツ」


「けど、おれが決めたんだ。何もかも全部捨てて、ここに残るって」


 彼の黒い瞳が、少しずつ色を変えていく。


「おれの守るものは今、カインだけだ。王の守護者として、……いや、あいつを傷つけるやつは、おれが許さねえ」


 彼の斧が光を放ち、雷を纏った。斧の一振りで繰り出された雷撃は回避できず、全体ダメージを食らってしまう。

構成し掛けていた魔法を慌てて回復魔法に転向し、プロフェットの本回復が来るまでの繋ぎで軽い全体回復を施す。