リュータが隣に付いたままで、腕輪の固定された方の手を祭壇にかざす。あれからまるきり出てこなくなった師匠の住んでいる腕輪だが、この腕輪はもともと水雹の神殿の迷路の奥で見つけられたものだ。
水雹の神殿で天使を呼んでしまった時のイレギュラー要素を挙げるとするならこれだろう。
この腕輪が各神殿それぞれでその都度発掘しなければならないものなのか、それとも全神殿共通なのかはこれで分かるはずだ。
「何も起きないな。やっぱりこの神殿にも似たようなキーアイテムが――」
「ユウジ、危ない!」
リュータに強く腕を引かれ、一緒に脇へ転がった。庇ってくれたリュータの肩越しに、翠風を纏った天使の第二撃が視認できて咄嗟に魔法による防御壁を展開する。
リュータの動体視力に助けられた部分も大きいが、これだけ近くにいて当たらなかったということは、一撃目は回避可能な攻撃だったに違いない。
次いで降ってきたのは魔法による稲妻だった。魔防御の低いリュータやヴェルターなどの前衛が受ければ大ダメージだったろう。
「よかった。今度はちゃんと守れた」
安堵の表情で身を起こす彼に、オレも、と小さく返す。意味は伝わらなかったかもしれないが、独り言に近いので改まって言うつもりはない。
第二撃目と次の攻撃との間は少しだけ空くようだ。フロア入り口から武器を手にこちらへ駆けてくるヴェルターとノアの元へ二人で走り寄り、合流する。
「あいつを倒し切れれば東国の呪いの解呪もできる。準備は?」
「問題ない」
「ユウジ様のため、必ず仕留めて見せましょう」
「ユウジ」
「ん?」
「死なせないよ」
「……ああ。頼りにしてるさ、勇者サマ」
水雹の神殿で天使を呼んでしまった時のイレギュラー要素を挙げるとするならこれだろう。
この腕輪が各神殿それぞれでその都度発掘しなければならないものなのか、それとも全神殿共通なのかはこれで分かるはずだ。
「何も起きないな。やっぱりこの神殿にも似たようなキーアイテムが――」
「ユウジ、危ない!」
リュータに強く腕を引かれ、一緒に脇へ転がった。庇ってくれたリュータの肩越しに、翠風を纏った天使の第二撃が視認できて咄嗟に魔法による防御壁を展開する。
リュータの動体視力に助けられた部分も大きいが、これだけ近くにいて当たらなかったということは、一撃目は回避可能な攻撃だったに違いない。
次いで降ってきたのは魔法による稲妻だった。魔防御の低いリュータやヴェルターなどの前衛が受ければ大ダメージだったろう。
「よかった。今度はちゃんと守れた」
安堵の表情で身を起こす彼に、オレも、と小さく返す。意味は伝わらなかったかもしれないが、独り言に近いので改まって言うつもりはない。
第二撃目と次の攻撃との間は少しだけ空くようだ。フロア入り口から武器を手にこちらへ駆けてくるヴェルターとノアの元へ二人で走り寄り、合流する。
「あいつを倒し切れれば東国の呪いの解呪もできる。準備は?」
「問題ない」
「ユウジ様のため、必ず仕留めて見せましょう」
「ユウジ」
「ん?」
「死なせないよ」
「……ああ。頼りにしてるさ、勇者サマ」
