【BL】お荷物くんの奮闘記

「左の通路に次のフロアへの扉があるけど、仕掛けを解かないことには強風で先に進めないようになってる。まずは右に行くぞ。リュータ左には行くなよ」


「い、行かないよ分かってるよ」


 昔は、仕掛けを解かずにウリエルがそのまま左へ進んで突風に吹き飛ばされて、風下にあった針山に突っ込みかけたのだったか。

ユウによって寸でのところで助けられていたが、圧倒的な強さを誇る天使で勇者なわりに彼は「うっかり」でよく死にかけている気がする。


 右の通路を進んだ先に、固そうなレバーがあった。右向きになっているこれを一旦真上に向ける。

真上にすると左の通路の風は止み、今度は入り口の向かいにあった奥から風が流れ出し、左右の通路を分断するようになっているのだが、石版によって風が防げるため石版から入り口側を通れば通行が可能なのだ。


「内部を知っているのか」


「んー、前こいつと一緒に来たことがあって」


 自分たちの仕掛けを知っている様子を訝しんだヴェルターに曖昧に返す。間違ってはいない。


 入り口前の石版まで戻り、石版よりも外側を通って左へ進む。左に流れていたであろう風はぴたりと止み、人が通れる大きさの通風孔の先に階段が現れた。


「ここから進むのが正解だ。階段には雷属性の魔物が出るから気をつけてな」


 階段を上り始めてすぐ、上階からかつんかつんと音を立ててリビングウエポン――いわゆる武器にかりそめの命が宿った魔物が三体下ってくる。

雷の魔力で浮遊と自動を可能にしており、雷属性の魔法を放つこともできる強敵だ。前衛は攻撃を防ぎつつ、武器の真下に詠唱魔法陣が展開されたら妨害に入らなければならない。