【BL】お荷物くんの奮闘記

「中には魔力増幅の薬草で煮て染めた布を、外の生地には魔法陣の刺繍を施してあります。魔法陣はそれぞれが術式になっており――」


 いやそれ雨の日にティッシュで作るやつだよ。明日天気にしておくれって願うやつだよ。喉元まで出かかった突っ込みをかろうじて飲み込んだ。

思ったままを言葉にしようとしたリュータの口も塞ぐ。

知られてはならない。

ものすごい真面目に頷く彼女と、目を輝かせて解説するノアのためにも。


 ノアの話を要約すると、あの豪華なてるてる坊主は通信アイテムのようだ。

あれを使って、魔力の波長を合わせると無線機として使用できるらしい。

魔力を遮断するようなフィールドの場合は圏外で使えなくなりそうだが、そうでなければ簡単な携帯電話になる。

この時代に無線機やら携帯電話やら、離れた相手とほぼリアルタイムに話ができるというのはどこの国でも欲しがる技術ではないだろうか。

情報が勝敗の鍵を握る戦いにおいて、必要な時に上官に確認が取れるわけだ。

やっぱりその辺の普通の国にノアはじめとする大賢者ファンクラブさんらを匿ってもらうわけにはいかなさそうである。


「何かあればすぐにお知らせします。皆様、お気をつけて」


 彼女もすっかりその気になってしまっている。まあ、戦えるメンバーが増えるのはありがたいからいいんだけど。