操作するためには、「この世界のシステム外にいる天使」を召喚して倒すことが必須条件。
――召喚というより、正確にはデバックポイントと「システム外」とを繋いだその入り口を塞ぐ役割を担っているようだが――システム外の存在は、それだけで内部の住民と比べ圧倒的優位に立っているため、この世界の住民では倒すことは本来不可能。
つまりシステム外……おそらく、日本から召喚された勇者とその一行だけが行えるデバックなのだ。
だとすれば、天使を食らったとする悪魔の少年の正体は。
「大賢者様」
「え、あ、はい」
屋敷を出て、ここから最も近い神殿へ案内してもらう道すがら。占い師の女性が俯いて話しかけてきた。
「やはり、これは私たち東国民が出過ぎた真似をしたことに対する、報いの呪いなのでしょうか」
ただのバグですよと話して通じる相手なら、これほど悲痛な表情で思い悩んだりはしない。
自分たちのこれまでの何らかの行動が神によって罰される時が来た、そんな仮説が最有力だと思い込んでしまうような相手に、どう説明すれば不安を取り除けるだろう。
少し逡巡して、口を開く。
「大丈夫。呪いなんかじゃありません」
バグ、不具合、プログラムエラー、そういった言葉の代わりになる比喩としては何が適切か。足りない語彙力を笑顔で誤魔化す。
――召喚というより、正確にはデバックポイントと「システム外」とを繋いだその入り口を塞ぐ役割を担っているようだが――システム外の存在は、それだけで内部の住民と比べ圧倒的優位に立っているため、この世界の住民では倒すことは本来不可能。
つまりシステム外……おそらく、日本から召喚された勇者とその一行だけが行えるデバックなのだ。
だとすれば、天使を食らったとする悪魔の少年の正体は。
「大賢者様」
「え、あ、はい」
屋敷を出て、ここから最も近い神殿へ案内してもらう道すがら。占い師の女性が俯いて話しかけてきた。
「やはり、これは私たち東国民が出過ぎた真似をしたことに対する、報いの呪いなのでしょうか」
ただのバグですよと話して通じる相手なら、これほど悲痛な表情で思い悩んだりはしない。
自分たちのこれまでの何らかの行動が神によって罰される時が来た、そんな仮説が最有力だと思い込んでしまうような相手に、どう説明すれば不安を取り除けるだろう。
少し逡巡して、口を開く。
「大丈夫。呪いなんかじゃありません」
バグ、不具合、プログラムエラー、そういった言葉の代わりになる比喩としては何が適切か。足りない語彙力を笑顔で誤魔化す。
