【BL】お荷物くんの奮闘記

「電源とかなさそうなんだけど、動くのかこれ」


「ダイゴさんがあっちから持ってきたのかな……」


「テレビゲームをテレビごと一式持ってくるとかさすがに無理があんだろ」


 ついてきているヴェルターはじめとする三人は、この機械類がいったい何に使われているものなのか分からないに違いない。

こんな場所でお目にかかったのでなければ、ちょっとやってみたい気はしなくもないのだが。


「あれ、でもランプ光ってるよ?」


「嘘だろ」


 目の前で異様な存在感を放っている機体を覗き込んでみる。どこにもランプなど見当たらない。


「そっちじゃなくて、テレビの方」


 言ってリュータが黒い箱に近付く。ボタンがありすぎて暗がりではどれが電源なのかいまいち分からなかったが、彼は勘なのか一発で電源ボタンを探し当てて、電源を入れた。

画面下ではなく上部にあったようだ。


 しばしの沈黙ののち、どこにもコードの繋がっていないテレビに静電気音が走る。一拍遅れて、画面が点灯した。


「そういえば、魔法仕掛けのエレベーターとか醤油もどきとか、世界観ぶち壊しなやつ色々あったな……」


 あんまりこの世界の中世っぽさとサバイバル生活に慣れてしまっていたおかげで驚いたが、作り方はともかく存在していて不自然というわけではないのだ。

きっとエレベーターと同じく、動力源が魔法だからコンセントの必要がないのだろう。