「この国の近くに、勇者の神殿があります。彼はそこに足を運び、勇者を継ごうとして失敗した、という話が広まっていますが、少しだけ事実と異なっていて」
「え?」
神殿に出た悪魔がどうとかいう話の方だろうか。それはてっきり噂にくっついた尾鰭背鰭だと思っていたが、そうでもないらしい。
「神殿に向かった時、彼が途中魔物に遭遇したところを助けた少年が居たのだそうです。年の頃はそう、そちらにいらっしゃる大賢者様のお付きの方くらいで」
リュータの方に視線が集まる。おれじゃないよ、知らないよとばかりに彼が大きく首を振った。いや、タイミング的におまえじゃないのは分かってるから。おまえその頃たぶん泣きながら全宇宙旅してたから。
「その圧倒的な強さに、少年を勇者の再来だと確信した彼は今こそ遺志を伝える時だと、勇者の遺志に触れて知ったことをすべて話してしまったのだそうです。
……その少年は話を聞いてすぐに神殿へ向かい、閉ざされた神殿をこじ開けて「天使」様を呼び出し――」
天使、というと、ウリエルの仲間みたいなああいう。師匠から引き継いだ記憶の中にある、水雹の神殿に出てきた無表情のやたらめったら強そうなあれ。
呼び出すというのは、きっと水雹の神殿で偶然降りてきたああいうのを意図的に召喚する的な。
「彼の目の前で天使様を喰らったと、伝え聞いております」
それを食べたと。……ん?
「喰らった? 文字通り?」
「え?」
神殿に出た悪魔がどうとかいう話の方だろうか。それはてっきり噂にくっついた尾鰭背鰭だと思っていたが、そうでもないらしい。
「神殿に向かった時、彼が途中魔物に遭遇したところを助けた少年が居たのだそうです。年の頃はそう、そちらにいらっしゃる大賢者様のお付きの方くらいで」
リュータの方に視線が集まる。おれじゃないよ、知らないよとばかりに彼が大きく首を振った。いや、タイミング的におまえじゃないのは分かってるから。おまえその頃たぶん泣きながら全宇宙旅してたから。
「その圧倒的な強さに、少年を勇者の再来だと確信した彼は今こそ遺志を伝える時だと、勇者の遺志に触れて知ったことをすべて話してしまったのだそうです。
……その少年は話を聞いてすぐに神殿へ向かい、閉ざされた神殿をこじ開けて「天使」様を呼び出し――」
天使、というと、ウリエルの仲間みたいなああいう。師匠から引き継いだ記憶の中にある、水雹の神殿に出てきた無表情のやたらめったら強そうなあれ。
呼び出すというのは、きっと水雹の神殿で偶然降りてきたああいうのを意図的に召喚する的な。
「彼の目の前で天使様を喰らったと、伝え聞いております」
それを食べたと。……ん?
「喰らった? 文字通り?」
