「それもそっか。その前に世界平和と平等な社会作りだよな。うまいとこ平和になったら、またそん時考えよう」


 彼に夢中になるあまり、その時既に自分は盲目になっていた。

常に全体を把握して真実を見据える役回りであったのを忘れて――彼が最初に謎かけをしてきた、「仕様さえ分かってれば、ちょっと細工するだけで」という言葉の真意を探るのを無意識のうちに放棄してしまっていたのだ。


 彼の強さは、この世界の成り立ちに関わるような根幹に首を突っ込むことで保たれていたのだと、本当の意味で理解したのは、突然彼が戦いの最中で消えてしまった時だった。


 彼と触れ合う夜、自分ばかりが脱がされてダイゴは肌を見せようとしなかったのも。

少しずつ、肌の露出を隠すような装飾を彼が旅の装備に加えていったのも。

あとほんの一歩だけ、彼の懐に踏み込めていれば気付くことができたのに。


 ダイゴは始めから、自分たちを置いていくつもりで全てを隠しきっていた。



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