彼と話すのは情報の受け渡しをして以来になる。変わらず出てきたことに安堵しつつ――何せ幽霊みたいなもんだ、まだ知恵を借りる必要があるというのに勝手に成仏されては困る――今、またしても強制単独行動させられかけて東に徒歩で向かっていることを手短に話した。
「相談したいことがいくつかある。
ひとつめは、ここから東への魔法を使った移動だ。脱出魔法改造のアドバイスをくれ。
徒歩と馬車で計算しても五日かかるのは、正直時間が惜しい」
レツの言葉からして、魔王側にもなにやら思惑がありそうだということと、さほどのんびりしてもいられないということが分かる。できる限りこちらでも、対抗できる手段と伝を得ておきたい。ノアをはじめとする大賢者ファンクラブの人手はいつでも使えるようにしておくべきなのだ。
「改造な、時間さえあればまあできるだろ」
「ふたつめが、東国の呪いについてだ。
世界の呪いっていうやつらしいが、どうも呪いの性質を調査すればするほど「感染」しやすくなるようになっているらしい。
オレは東国の呪いを解いてやるつもりでいるけど、それでオレが感染してちゃミイラ取りがミイラだ。
もしそうなった時のために、できれば師匠が単独で動けるようにしておいて、非常事態にはオレの代わりに師匠に動いてほしい。
……何か、よりしろがあればこう、乗り移ったりとかできるかい?」
「あー……可能っちゃ可能だけど。この間もやったしな」
「は? いつ」
「いやあ、オレ様あれだろ、幽霊みたいなもんだろ、この間中央都市でおまえさんが死にかけた時にちょっくら身体拝借して魔法を」
「……大賢者に間違われたの確実にそれが原因」
「わ、悪かったよ」
「相談したいことがいくつかある。
ひとつめは、ここから東への魔法を使った移動だ。脱出魔法改造のアドバイスをくれ。
徒歩と馬車で計算しても五日かかるのは、正直時間が惜しい」
レツの言葉からして、魔王側にもなにやら思惑がありそうだということと、さほどのんびりしてもいられないということが分かる。できる限りこちらでも、対抗できる手段と伝を得ておきたい。ノアをはじめとする大賢者ファンクラブの人手はいつでも使えるようにしておくべきなのだ。
「改造な、時間さえあればまあできるだろ」
「ふたつめが、東国の呪いについてだ。
世界の呪いっていうやつらしいが、どうも呪いの性質を調査すればするほど「感染」しやすくなるようになっているらしい。
オレは東国の呪いを解いてやるつもりでいるけど、それでオレが感染してちゃミイラ取りがミイラだ。
もしそうなった時のために、できれば師匠が単独で動けるようにしておいて、非常事態にはオレの代わりに師匠に動いてほしい。
……何か、よりしろがあればこう、乗り移ったりとかできるかい?」
「あー……可能っちゃ可能だけど。この間もやったしな」
「は? いつ」
「いやあ、オレ様あれだろ、幽霊みたいなもんだろ、この間中央都市でおまえさんが死にかけた時にちょっくら身体拝借して魔法を」
「……大賢者に間違われたの確実にそれが原因」
「わ、悪かったよ」
