【BL】お荷物くんの奮闘記

 それでもあちこち突っ込んで破壊しつつも、自分は無傷で遺跡の壁まで突き破ってやってきたあたりこいつの頑丈さは改めておかしいと思う。


 親切な魔法使いと言ったが、この頑丈さまで見越してコアスクロールを寄越してきたのだとしたら良い性格をしている。本当に。


「ユウジ、ここどこ?」


「北方山脈から少し南下したあたりだな。東国よりは中央都市の方がまだ近い」


「どうしよう。スクロールはもう使えないし……」


 遺跡内の魔物を二人で蹴散らしながら彼の空けた穴を通り、外へ出る。


「ごめん。こんなに近距離だったなら、使わないで自力で来た方が良かったよね」


「いや、その時点ではお互いの現在地すら分からなかったんだからあれで正解だ。戻る方法は別に考えるさ」


 徒歩で中央都市まで進みながら、東国へ移動する手段を考えるのが現段階では最善か。策が浮かばなくとも、中央都市からなら馬車なりなんなり使えるだろう。


 ここから中央都市まで概算で約四日。中央都市からは別の移動手段があるとして、馬車なら東国までは一日だろうか。

五日間をかけて戻っても、またあのトラップに引っかかって飛ばされるのでは堂々巡りだ。